《死者の王、ドラルヌ/Dralnu, Lich Lord(TSP)》の起動型能力によってフラッシュバックを得ている墓地の《火葬/Incinerate(10E)》をプレイする。対戦相手にダメージを与えた《火葬》は、フラッシュバックによって墓地に置かれるのではなくゲームから取り除かれる……だと今まで思っていたのだが、という話。

 「《死者の王、ドラルヌ》の起動型能力によってフラッシュバックを得ている墓地の《火葬》が、プレイされてスタックに移動した」という状況は、217.1cにある4つの例外のどれでもない。
 そのため、スタック上の《火葬》には「フラッシュバックを得る」効果はもはや影響していない、つまりその《火葬》はフラッシュバックを持っていないはず。

217.1c ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、新しいオブジェクトとして扱われる。以前の領域に関連した効果は失われる。このルールには4つの例外がある。1)スタックに積まれているアーティファクト呪文、クリーチャー呪文、エンチャント呪文、プレインズウォーカー呪文の特性を変更する、呪文や起動型能力、誘発型能力による効果は、その呪文によって生成されるパーマネントにも適用され続ける。2)オブジェクトがある領域から他の領域に移動することによって誘発する能力(例えば、「《怨恨/Rancor》が場から墓地に置かれたとき」など)は、新しい領域に存在するそのオブジェクトを見つけることができる。3)スタックに積まれているアーティファクト呪文、クリーチャー呪文、エンチャント呪文、プレインズウォーカー呪文からのダメージに適用される軽減効果は、その呪文によって生成されるパーマネントにも適用される。4)フェイズ・アウトあるいはフェイズ・インしたパーマネントは、その元の状態を覚えている。rule 217.8c 参照。


 さらに、フラッシュバックの「スタックからの移動先を置換する能力」はスタック上で機能するものであり、「墓地からのプレイを許可する能力」とは別々に分けられている。
 だから、スタック上の《火葬》がフラッシュバックを持っていないならば、(フラッシュバック・コストが支払われているにも関わらず)置換は生じず《火葬》は墓地に置かれるはず。

502.22a フラッシュバックは、ある種のインスタントやソーサリー・カードに存在する、2つの常在型能力を表すキーワードであり、その1つはそのカードが墓地にある間に働き、もう1つはそのカードがスタックにある間に働く。「フラッシュバック [コスト]/Flashback [コスト]」は、「このカードのマナ・コストを払うのではなく[コスト]を支払うことで、あなたはこのカードを墓地からプレイしてもよい」「フラッシュバック・コストが支払われている場合、このカードがスタックから離れる場合、他の場所に移動させるかわりにゲームから取り除く」ということを意味する。フラッシュバック能力を使って呪文をプレイすることは、rule 409.1b、rule 409.1f-h の代替コストを支払うことに関するルールに従う。


 そしたら「《死者の王、ドラルヌ》でフラッシュバックを与えて墓地の《火葬》をプレイ」が何度でもできるのか!? 《ストロームガルドの災い魔、ハーコン/Haakon, Stromgald Scourge(CSP)》で墓地の部族・インスタント・カードや部族・ソーサリー・カードが何度もプレイできる例があるから、アリと言ったらアリなのだが……《死者の王、ドラルヌ》の本来の主旨はそうではない気がする。
 時のらせんが発売された際のCR更新より以前では、現在フラッシュバックの2つに分けられている能力は、墓地で機能する能力として1つの能力にまとめられていた。そうであれば、最初に墓地からのプレイを宣言した時点で既にスタックからの呪文の移動先の置換が「予約」されているので、スタック上の《火葬》がフラッシュバックを持っていなくてもゲームから取り除かれる、と考えられるのだが。

 はたして、どうなるのか(どうあるべきなのか)?
(a) スタック上の《火葬》は依然としてフラッシュバックを持っていて、墓地に置かれる代わりにゲームから取り除かれる。
(b) スタック上の《火葬》はもはやフラッシュバックを持っていないが、墓地に置かれる代わりにゲームから取り除かれる。
(c) スタック上の《火葬》はもはやフラッシュバックを持っていないし、通常どおり墓地に置かれる。

 だれか、いけん、たのむ。

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